〈聖書からのお話し〉
 
「全世界に行って」

牧師 福井 基嗣
 
 5月16日から21日まで、タイを訪ねてきました。タイ福音ルーテル教会 の宣教協力会議と山岳民族(アカ族)の宣教地視察のためです(近畿福音ルーテル教会はかつてタイに日本人宣教師を派遣し、今も宣教協力をしています)。

 アカ族の方々の宣教地へ向った時のことです。タイ北部のチェンライ空港から、車でおよそ2時間、舗装された道路を走った後、山岳地帯へ向かい、でこぼこ道をジェットコースターのように揺らされながら、さらに1時間ほど行くと、アカ族の村の一つに着きます。

 辺りは山々の奥底の、最果ての地といった眺めです。そこに一軒の藁ぶきの家がぽつんとありました。木造2階建ての家で、1階の壁のない板敷に日本の「ござ」によく似たカーペットをお客様用に敷いてくださって、そこに座るよう招かれました。私たちを迎えた家の方々も、みな胡坐をかいて座り、なんだか日本と同じような雰囲気を感じました。
その家の方々はタイルーテル教会の信徒であり、そこが周辺の村人への伝道の拠点となっていました。

 まずご家族が紹介されました。最長老のお婆さんは、かつてこの村の呪術師でありましたが、今はお婆さんはじめ家族8人がクリスチャンとなっているとのことでした。その地の牧師、ムーロ先生のお話をお聞きし、通訳を介して、ご家族との交流をした後、昼食をご馳走になりました。

 それはアカ族の普段の食事を少し贅沢にしたものでした。私の訪ねたアカ族の村は基本的に貨幣経済ではなく、自給経済で何とか成り立っています。わずかな畑で採れた野菜の炒めたもの、池で養殖している魚、卵、そしておかずの贅沢な部分は狩猟で得た野豚の肉です。ほとんど自給ですが、水田がないので、お米だけは購入するそうです。そしてそのお米はタイで最も安いお米で、本来鳥の餌にするお米だそうです(全部美味しかったです!)。

 イエス・キリストは、十字架において死なれ、三日目に復活された後、いまだ信じられないでいる弟子たちにこう言われました。
 「全世界に行って、すべての造られたものに福音を
           宣べ伝えなさい。」 (マルコ16:15)

 「全世界」です。全世界には、あのアカ族の村々も含まれていれば、この日本にいる私たちも含まれています。

 「なぜ鳥の餌のお米しか食べられないのか」。 私の訪ねた山岳民族の地帯にも、実は政治的にも、経済的にも、人権的にも、非常に複雑な問題が絡み合っているのです。しかし、そこに生きている人々がおり、生活があるのです。

 同様に、この日本においても、様々な課題を抱えつつ、生きていく現実があります。

でも主イエス・キリストは、「全世界に行って」と、神の愛がそれでもそこに注がれていることを伝えるよう弟子たちに命じました。そして今日に至るまでキリストの愛は、全世界に宣べ伝え続けられているのです。

 国や文化は違えども、天地の創造主である神の目は、日本の私たち一人一人、あなたにも注がれているのです。聖書に関心のあるお方は、お気軽に教会にお訪ねください。

 神の祝福があなたの上に、豊かにありますよう心よりお祈りいたします。


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