〈聖書からのお話し〉
 
日ごと食物をお与えください

牧師 屼ノ下照光 
 
 わたしたちに必要な糧を今日与えてください。
                   (マタイによる福音書 6章11節)

私たちの主の年、2018年の新年、明けましておめでとうございます。 昨年も、松阪ルーテル教会のホームページをご覧いただきまして、まことに、ありがとうございました。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

 主イエス・キリストが教えてくださいました祈り『主の祈り』について、続けて紹介させていただきます。
「神の名があがめられ、神の国が来ますように。神のみ心が行なわれますように」と祈るように教えてくださった主イエスさまは、次に、「日ごとの食物を与えてください」と祈ることを教えてくださいました。これについて、マルティン・ルターは、『小教理問答書』の中で、次のように教えています。「神は私たちの願いがなくともすべての悪人にも確かに毎日パンを与えてくださる。しかし私たちはこの願いにおいて、神が私たちにこのことを分からせ、私たちの毎日のパンを感謝をもって受け取らせてくださるようにと願うのである」そして、「日ごとの食物」とは、毎日の生活に必要な、ありとあらゆる物であると教えています。
 私たちは、おそろしく物の溢れた中に生きています。この日本では、食料自給率が40㌫以下にもかかわらず、必要以上にあふれかえっている食物をに囲まれています。毎日廃棄されているおびただしい食料が問題にもなっています。そのような中では、「日ごとの食物を与えてください」という祈りも、意味のないものののように祈られてきたのではないでしょうか。
しかし、この祈りは、私たちのこの世界のこれからのありようを考えるとき、ほんとうに真剣に祈らなければならない祈りであるように思います。
 主イエスさまは、「わたしたちに必要な糧を今日与えてください」と祈るように教えてくださいました。「わたしたち」というのは、もちろん、この私を含む周囲の人たち、家族や友人、近隣の人たちということでありますが、この「わたしたち」の中には、この世界で、貧困や飢餓で苦しんでいる多くの人たちも含んでいます。今日、この世界で1分間に17人の人たちが飢餓で亡くなっているという現実があります。私たちは、「わたしたちに必要な糧を今日与えてください」と祈るたびに、今与えられているあふれるばかりの恵みに感謝すると共に、きょうの食べ物にも窮している多くの人たちがおられることに思いを馳せ、その人たちにも十分な食べ物が与えられるよう、祈るのです。
 日ごとの食べ物に困っていない私たちは、いつも口に入れている食べ物が、神さまからの贈り物であることを忘れています。日ごとの食べ物もなくて飢えに苦しんでいる人たちの存在を忘れています。主イエスさまは、この祈りによって、私たちが生きるうえにおいてほんとうに大切なこと、基本的なことを教えてくださっています。私たちは、あふれる食べ物の中で、食べ物がなければ生きられないという、そんなことさえ忘れてしまっているようなところがあるのです。そして、生きるのに必要なその食べ物を備えてくださっているのが、この私の生命を造り、支えてくださっている神さまであることを忘れてしまっているのではないでしょうか。
 『主の祈り』は、ほんとうに大切なことを忘れてしまっている私たちに、その大切なことを思い起こさせてくれるのです。そして、「わたしたちに」と祈ることによって、私たちが一人で生きているのではなく、他の人たちとの関わり、交わりの中で生かされていることを思い起こさせてくれるのです。広い視野をもって、「日ごとの食物を与えてください」と祈っていきましょう。


 以下に、教会で用いられている「主の祈り」を紹介します。

  天にいます、われらの父よ
  み名があがめられますように
  み国が来ますように
  みこころが、天で行われるとおり、地にも行われますように
  私たちの日毎の食物を、今日も、お与えください
  私たちに負債のある者を赦しましたように
  私たちの負債をも、お赦しください
  私たちを試みにあわせないで、悪しき者からお救いください
  み国も、力も、栄光も、とこしえに
  あなたのものだからです   アーメン
           (松阪ルーテル教会で用いている「主の祈り」)

  天におられるわたしたちの父よ
  み名が聖とされますように
  み国が来ますように
  み心が天に行なわれるとおり、地にも行なわれますように
  私たちの日ごとの糧を今日もお与えください。
  わたしたちの罪をお赦しください
  わたしたちも人を赦します
  わたしたちを誘惑におちいらせず
  悪からお救いください
  国と力と栄光は、永遠にあなたのものです  アーメン
      (日本聖公会、カトリック教会で用いている「主の祈り」)


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